横浜北仲マルシェをもっと、おもしろく!

ストーリーズ 〜横浜北仲マルシェで出会える魅力の裏話〜

ストーリーズ 〜横浜北仲マルシェで出会える魅力の裏話〜

Interviewer

多くの方に横浜北仲マルシェの魅力を知ってもらいたい!
そんな思いを持ち発足した編集部のメンバーが、
オリジナルの視点と切り口で出店者さんに迫ります。

Vol6 2019 / 7 / 8(月)

山梨に吹いたニュージーランドの風。
FARMERS BLENDの桃スムージーを生み出した、
Mattさんのフルーツ愛。

キッチンカーFARMERS BLENDを手がけるモリタファームは、山梨県笛吹市で約70年以上も桃を栽培してきた伝統的な桃農園。そこになにやら新しい風が吹きはじめたのが5年前のこと・・・。森田家の長女Emiさんと夫Mattさんのフルーツ愛から生まれた、朝採れ桃のスムージー。その誕生秘話と、森田家の団欒をお届けします。

両親の反対を押し切って日本にUターン。
スムージーのアイデアを“輸入”。

Mattさんは、Emiさんのご両親にご挨拶に来たとき、初めて山梨の桃を食べたとか。
それまでオーストラリアやニュージーランドで食べていた桃とは全く違くてびっくりしました。

向こうの桃は、すももみたいに小さく、硬いんです。日本の桃のようないい香りもしないので、全く違うフルーツのように感じました。
Mattさん。流暢な日本語と気遣いで、地域からも愛される存在に。

Mattさん。流暢な日本語と気遣いで、地域からも愛される存在に。

そこですぐに桃農家を志したのですか?
そのときはまだ。

でもその後、Emiから「桃農家を継ぎたい」と相談されて、すぐにOKしました。
海外に住んだことで、「実家の桃ってこんなにおいしいんだ」ってあらためて感じる事ができたんです。

でも、両親も年をとってきて、このままではいつか農園が無くなってしまうと思うと寂しくなり、決心しました。
Emiさん。取材中も優しい笑顔でMattさん、お父さんのTakaさんをフォロー。

Emiさん。取材中も優しい笑顔でMattさん、お父さんのTakaさんをフォロー。

ご両親も嬉しかったのでは?

Mattのご両親はすぐに許してくれたのですが、私の父が一番反対して・・・。
元々山梨には帰ってくるなと言われていましたから。
農家は天候にも左右されるし、年に一度の収穫で一年分の生計を立てる暮らしでしょ?

親としては心配だよね。娘には幸せになってほしいから。
Emiさんのお父さん、Takaさん。この日も森田家の女性陣に押されがち。

Emiさんのお父さん、Takaさん。この日も森田家の女性陣に押されがち。

EmiさんとMattさんには、生活の不安はなかったんですか?

確かに、桃はデリケートなので、収穫しても傷がついたり熟しすぎたりして出荷できないものも多い、扱いにくいフルーツというのも分かっていました。
それを解決するのが、スムージーだったんです。

元々僕はスムージーが大好きで、ニュージーランドやオーストラリアに住んでいるときからよく飲んでいました。

こんなにおいしい桃があるなら、絶対においしいスムージーができる。絶対にヒットするはずだと思っていました。

森田家の母、Hiromiさんが作ってくれた桃のコンポート。甘みと歯ごたえが絶妙。

森田家の母、Hiromiさんが作ってくれた桃のコンポート。甘みと歯ごたえが絶妙。

日が出たらすぐに収穫。
手作り肥料もおいしさの秘密

桃は出荷が難しいとのことですが、一番いいタイミングはいつですか?

桃は絶対に朝。

夜に蓄えた養分がたっぷりつまって、一番張りがある状態です。できるだけ早くに収穫しないと、その養分を昼間に使ってしまいます。

だから、桃の肌色が見えるくらいに日が出たらすぐに収穫します。だいたい4時半くらいかな。

まだ青いうちに収穫して、追熟させることはできないんですか?

青いうちに採る方も多いのですが、うちは農協に卸す時も青いうちには収穫しません。やはりぎりぎりまで木で熟させてから収穫しています。

食べごろを見定めるのも、難しそうですね。

一口に桃といっても、うちでは15種類も扱っているので、それぞれにタイミングが違うからね。
そのまま出荷するには熟しすぎちゃったなぁっていうときもあるんだけど、そういう桃をスムージーにするから、実は一番おいしい状態を味わえるんだよね(笑)

1本の枝にいくつもの実がなる。養分を集中させるために、密集したところは間引くそう。

1本の枝にいくつもの実がなる。養分を集中させるために、密集したところは間引くそう。

ハネものがなくなるのは、農家にとっては助かりますね。
モリタファームは、肥料も手作りの有機肥料だとか。

米ぬかやなたね油などを組み合わせて開発したものですね。
フルーツだけでなく、野菜もおいしくなるし、花も長持ちするんですよ。

これで味が本当に変わりました。
5年前もおいしかったけど、今はもっとおいしい。

Mattさん

肥料でそこまで変わるものなんですね。

結果が出るまでは、不安もありましたけどね。

土を変えて、実がなるまでには時間もかかるんだけど、信じるしかない。農家の難しいところです。

だからこそ、マルシェのように消費者の反応が見える場があるのは、とても嬉しいことなんです。

お店ではなくてマルシェに来る個人のお客様から、スムージーが美味しかったからと直接桃の注文も頂くようになりました。

マルシェには、MattさんとHiromiさんの二人で来ることが多いそう。

マルシェには、MattさんとHiromiさんの二人で来ることが多いそう。

Mattさんの“舌”は本物。日本酒の利き酒も

今まで桃そのものを卸していたときに比べると、だいぶ毎日が変わったのでは?
キッチンカーでいろんなところに行くようになったし、お客さんとの会話も増えましたよね。

うちで育てているもの以外にも、いろんなフルーツが集まってくるようになって、スムージーのレパートリーも増えています。
最近だとスムージー用にすいかを育ててみたり、ボイズンベリーやマルベリー(桑の実)を知り合いからもらって試しています。
ニュージーランドのほうでよく食べる、フィジョアというフルーツも育てているところです。
Mattさんが持っていたフルーツ愛が、日本で爆発している感じですね。

スムージーの配合はMattにお任せなんですよ。

桃だけでなく、ラズベリーと組み合わせたり、すももや、ゆず、キウイなど、季節によっていろんな種類があるんですが、すべてMattが考えています。

キウイスムージー・桃とトマトのスムージー・大人気の桃のスムージー
スムージーにするときのこだわりや、難しさはあるんですか?

フルーツそのものの味を壊さないように、ということを一番気をつけています。

そのうえで、一口目で「おいしい!」と感じるインパクトを残せるかどうか、ですね。
そのために組み合わせる果物の割合を変えたり。
私たちは農家なので、農家だからこそできる味を作ろうと。果物も贅沢にふんだんに使うことができるので、果物そのもののおいしさをスムージーに詰め込んでお届けしたいと思っています。

Mattは“舌が正しい”というのかな。少しの違いにもすぐ気付きますよね。

フルーツだけでなく、ウイスキーや日本酒の試飲会にいっても、僕は「全部うまい!」って言ってるだけなんだけど、Mattはそれぞれの違いをちゃんと表現するんだよね。

MattさんとEmiさん

でも表現が「おばあちゃんのタンスの匂い」とか、ちょっと独特なんですよ。

みんな、その表現を聞きたくて、Mattの反応を待っているんです(笑)

利き酒まで!

今後もスムージーのレパートリーが楽しみですね。

涼しい時期にはホットスムージーもあるので、長い期間楽しんでもらいたいです。

モリタファーム

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